ホーム太子堂が実践するイブニングサービス
 は今年で4年目を迎える。月日を重ねるごとに、
 スタッフ・ご利用者・ご家族を取り巻く環境に大
 きな変化をもたらしている。
 後編では、サービスを担うイブニングスタッフ
 に着目し、導入後の反響・変化をご紹介する
 とともに、イブニングサービスの今後の可能
 性について三好施設長にお話を伺った。
「イブニングサービス」を先駆けに、福祉サービスへの果敢なる挑戦!
10年、20年後の福祉サービスを創るのは私たちだ!
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イブニングスタッフ
         
  秋成 勇太   介護観の変化  
    介護者の立場である我々職員は、“職員だから何かをし
なければならない”という考えを持ってしまいがちです。
例外になく私もそう思っており、サービスの本質を勘違い
して捉え、過剰介護になるケースも多々ありました。
しかし、細かい業務を決めない体制に転換してからは、
ご利用者と正面から向き合える時間が増えました。
すると、今まで見えてこなかった部分がハッキリ見えるよ
うになり、サービスと言うよりサポートをするよう心掛ける
ことで、ご利用者との距離も近くなり、笑顔を見る機会も
増えました。イブニングサービスは、教科書には載ってい
ない本来の介護のあり方を、私に実感・勉強させてくれる
場所になっています 。
 
     氏名:秋成 勇太(25歳) 経験:5年目
    役職:チーフ         資格:介護福祉士
     
         
  仲田 千夏   職員の思い込みは介護サービスの危険信号  
    一定の業務内容・時間が定められることによって、職員
はそれを軸にご利用者と接することになります。
この状況は、職員目線で考えると仕事をしたという達成
感は芽生えますが、ご利用者目線では福祉サービスの
本来あるべき姿とかけ離れている気がします。ご利用者
に対して「できる」「できない」などと言った職員の勝手な
思い込みを引き起こす要因となってしまうこともあります。
その一方、イブニングサービスの体制はご利用者1人ひ
とりに合わせた個別サービスが可能となり、自分からご
利用者に歩み寄る機会も増え、私にとって居心地の良い
場所で仕事のやりがいも感じています。
 
     氏名:仲田 千夏(23歳) 経験:2年目      
         
    家庭と仕事の両立ができる職場  
    2児の母である私は現在、イブニングのパトタイマー
として勤めています。
週2日で時間は16:50~20:50までと、施設側の
理解も頂き家庭との両立ができています。
介護の仕事に就き7年の月日が流れましたが、この
仕事は毎日変化があり、同じことの繰り返しがない
からこそその年月の長さを感じない。
これこそが介護職の醍醐味でもあり、いつもがスター
トという気持ちで働けています。また、ご利用者と一
緒に楽しんだり、やりたいことが積極的に言える環境
(現場主導型)があるから、私は同じ職場に長く勤め
ることができるのです。
 
  氏名:黒川 妙子(43歳) 資格:介護福祉士/ケアマネ      
         
サービスがあるからこそ本当のニーズが生まれる
         
  イブニングサービスは、全国を見ても本格的に取り入
れている施設がまだ少ないのが現状だが、率先して
実施しているホーム太子堂。今後の福祉サービスの
あり方として、業界からの注目を浴びているだけに、
遠方からも多くの関係者が見学に訪れる。
そこで施設長の三好さんにお話をお伺いすると、『我
々は特に変わった取り組みを行っているわけではな
い。当施設の運営方針である“あたりまえの生活を
あたりまえのこととして暮らせるよう福祉サービスの
提供をし続ける”とあるように、あたりまえのことを純
粋に提供したいだけなのだ』と答えられた。
謙遜気味に聞こえるかも知れないが、福祉サービス
への信念やプロ意識、そして何よりも方針(理念)を
言葉だけで終わらせるのではなく、実践していく姿勢
を強く感じる言葉だった。
  三好施設長  
         
  バイタルチェック   しかし、サービス内容においても現状では、目指してい
るサービスの半分しか達成できていないそうだ。
介護保険制度導入後、通常8時間サービスで延長の
2時間を入れても最大10時間までとなってしまう。
サービスの時間帯をスライドさせることで、朝の時間帯
が空白となってしまい、カバーしきれていない。そして
最も重要なのが、現状での福祉サービスでは、介護者
(ご家族)の介護負担軽減への働きかけがまだまだ薄
いということです。家族なら365日24時間、介護ができ
るのに、プロフェッショナルの我々がそれをできない現
状に疑問と焦燥感を抱いている。
福祉サービスは机上の空論では成り立たず、実践して
こそニーズがあるかどうかが分かる。そういう業界だか
らこそ、我々はその「なぜ?」の部分を追求し、ご利用
者とそのご家族目線に立ったサービスを提供し続ける。
 
         
   
    ホーム太子堂外観  


社会福祉法人 竜華福祉会
特別養護老人ホーム ホーム太子堂
〒581-0063
大阪府八尾市太子堂4丁目1番32号
TEL:072-996-0026
URL:http://www.ryuge.or.jp
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  認知症ケアを中心に、介護者(ご家族)の
  負担軽減に大きく貢献するなど、レスパイト
  ケアを考慮する上で、現在業界の注目を浴
  びているイブニングサービス。
  全国をみても本格的に取り入れている施設
  はまだ少ないが、イチ早く実践している大阪
  府八尾市にあるホーム太子堂。
  今回は、そのイブニングサービスに秘めら
  れた可能性をご紹介しよう。

「イブニングサービス」を先駆けに、福祉サービスへの果敢なる挑戦!
10年、20年後の福祉サービスを創るのは私たちだ!(前編)
   
イブニングサービス誕生秘話
         
 

「介護に休みなし」をスローガンに、365日営業とロング
デイサービス(12時間)を実施してきたホーム太子堂
だが、介護保険制度改定に伴い8時間を越えるサービ
スが自費扱いとなり、やむを得ず9:00~17:00での
営業となった。
しかし夕方は、家事や育児に追われる最も忙しい時間
帯でもあり、「もう少し遅くまで利用したい」というご家族
の声や、認知症の方の周辺症状として、夕方になると
落ち着きをなくし徘徊や暴力行為等が多く見受けられ
る。俗に言う“夕暮れ症候群”だ。

  スタッフパネル  
         
  イブニングサービス送迎車  

そのため、夕方に自宅にお送りすることはご家族にと
って負担が大きく、サービスを利用する有効性が低い
のではないのかという観点から、デイサービスの機能
としての不十分さを感じる。
そこで、ホーム太子堂はデイサービスの利用時間を
12:00~20:00へとスライドさせることで、ご家族も
より温かく迎えることができるのではないのかと考え、
実施したサービスが『イブニングサービス』(認知症
対応型通所介護)なのだ。

 
         
トレンドを省きニーズの本質だけを追求した福祉サービス
         
 

イブニングサービスは、ご家族のニーズをただ単純に
時間帯だけをスライドするのではなく、ご利用者自身
に重きを置き、認知症ケアを中心にグループケアを
導入し、夜間入浴の実施や食事・入浴時間の選択を
可能にするなど、ご利用者にとって生活の延長線上
にサービスが存在することを位置づけとしている。

  ご利用者との団欒風景  
 

 

 
  ご利用者との楽しいティータイム  
   

 

 
   

特徴としては、生活リズムを整える上で実施している夜
間入浴。これは睡眠を促すことで、昼夜逆転を防ぎ、
気分を落ち着かせる効果があると言われています。
また、食事面においてもご利用者自身が準備や片付け
も行えるようテーブルバイキング方式を取り入れ、より
家庭的な雰囲気に近づけるよう心掛けている。
その他、レスパイトケアにおいては、デイサービスの
目的の1つでもありながら、現状では不十分となって
おり、介護者(ご家族)の介護負担軽減を考慮している
観点からもイブニングサービスの必要性を感じる。

 
  ※レスパイトケア・・・障害を持つ方の日常的なケアから一時的
解放」と定義され、北米で発達し欧米で広く行われている地域
支援サービスのひとつ。
第一の目的は、日常的にケアしている家族などの介助者が、
心身の充電をし、リフレッシュするために利用するもの。
   
         
イブニングサービス5つのポイント
     
  1.生活リズムを整える 2.五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を刺激するサービス提供 3.レスパイトケアの重視(介護者「ご家族」の介護負担軽減) 4.デイサービスでのユニット化 5.スタッフの意識改革とスキルアップ  
     
  奥田 勝之   スタッフの大きな変化が顕著に現れる  
   

サービス開始(2004年~)当初は、何もかもが手探りの
状態で試行錯誤を繰り返していました。スタッフ内で意見
交流を交わし、多くの時間を共有してきました。
そんな中、最も重要で難しい部分でもあったのが、「スタ
ッフの意識改革とスキルアップでした」と振り返るのは、
統括チーフを務める奥田さん。

当時、“顧客満足”という言葉が福祉サービスにおいても
騒がれるようになり、特にデイサービスにおいては、過剰
介護と見受けられるケースが増加しました。サービスの
本質を勘違いしてはならない、あくまでも福祉サービスは
『Give&Take』のもとにあると考えていたので、イブニング
サービスでは、業務というよりご利用者1人ひとりに合わ
せたサービス(個別サービス)体制へと転換しました。

 
        氏名:奥田 勝之  役職:在宅統括チーフ 
      資格:介護福祉士/介護支援専門員
   
         
 

業務を見ずご利用者を見るように、あえて細かな業務
は決めずに、ご利用者が決定したプログラムにスタッ
フが合わせるようにする。以前のようなスタッフ中心
提供型のサービスを改め、スタッフがご利用者をサ
ポートする、ご利用者の役割を奪わないという考えを
持つよう心掛けました。
すると、スタッフのご利用者を見る視点や介護に対す
る意識に変化が芽生えました。ご利用者には「できな
い」という諦めの介護から、重度のご利用者に対して
も、何かできることやその人の役割を模索し、ご利用
者の残存能力を最大限に引き出そうとする力が出て
きました。

  ご利用者との談笑  
         
   
    ホーム太子堂外観  


社会福祉法人 竜華福祉会
特別養護老人ホーム ホーム太子堂
〒581-0063
大阪府八尾市太子堂4丁目1番32号
TEL::072-996-0026
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従業員満足がサービス向上の足掛かり

 

 サービスの競争化が進む福祉業界で、緊急の
 経営課題として従業員満足=ESの強化が望
 まれている。
 しかし、多くの施設がまだ模索段階で、従業員
 にまで浸透しているケースは少ない。

 そこで今回は、従業員満足度を高めたことで、
 組織風土が活性化され、サービス向上に好影
 響を与えている高齢者施設をご紹介しよう。

成長曲線を描き続けるために、今こそ従業員満足度を高める!
 
従業員満足に“こだわり”を持っていることが成長の証
             
  フローラル エントランス  

サービスの競争化が進む福祉業界において、
ご利用者(顧客)満足をよりクオリティーの高い
位置に設定するとともに、従業員が満足して働
ける職場創りに力を注ぐことで、オリジナルの
組織風土を確立している「フローラル」。

『法人が私たちのことを理解してくれている。
または、理解しようとする姿勢を示してくれる。』
と従業員の方は口を揃える。
福利厚生・教育・研修制度・社風・職場環境・人
間関係など、捉え方は人により様々だが、どれ
も法人が“こだわり”持って「良くしよう!」と取り
組んでいる結果が、成長曲線を描き続けている
のだろう。

そこで今回は、フローラルを代表して、現場を
束ねる介護主任とフロアリーダー3名の方に
“施設の魅力”をお伺いしました。

 
     
   

DATA
社会福祉法人 優喜会
特別養護老人ホーム  フローラル
〒570-0003
大阪府守口市大日町1-11-11

     
     
             
目標はシンプルな「事実」にする
         
 

“活気”と“明るさ”と言うのは、こだわりのひとつで、私が
念頭に置いていることでもあります。
そこで私が心掛けていることは、「施設の雰囲気を明るく
する」というイメージだけでは終わらせないこと。
この場合、「職員全員が笑顔で挨拶する」という明確な事
実を設定し、率先するようにしている。

頭に描かれたイメージを明確な事実にすることではじめ
て目標となる。事実は人によって解釈が異なることがな
いので、目標を見失わない最良の手段だと、私は考え
ています。

また、福利厚生の部分でもフローラルは休日休暇を一
般企業並みに取れるようにしています。3連休などは当
たり前で、この前は9日間の長期休暇を頂き、バリ旅行
を楽しんできました。

  井原 恵  
   

      氏名:井原 恵(26)   役職:介護主任
       経験:5年半        資格:介護福祉士/ケアマネ
  「今のフローラルが存在するのは彼女のおかげだ!」と法人から
  絶対的な信頼を得ている井原主任。彼女の象徴は、活気と明る
  さ。彼女の言動力は施設に活気と程よい緊張感を与えてくれると
  施設長も下を巻くほどだ。
的な

 
         
  井原さん介護風景  

これも「休みが欲しいという」イメージではなく、「長期休
暇を作って海外旅行に行く」という事実を設定することで
、そのために自分がしなくてはならないことがハッキリと
見えてきます。仕事と休日のメリハリがしっかりしている
ことが、施設の活気にも繋がっています。

私のみならず、職員1人ひとりの頑張りが正当に評価さ
れている背景には、法人の理解力そして体制があります
。独裁的な施設運営を一切取らず、法人は私たちの意
見に耳を傾け信頼してくれる。

会議で上がってきた職員の意見や業務の見直し、新しい
取り組みなども私たちで考え行動する。その評価も私た
ちで行うので、否が応でも責任とやりがいの両方を感じさ
せてくれる。
これが私たちの頑張りの原動力となっている。

 
         
フロアの特徴を生かした職場環境
         
 

2Fフロアは、要介護度が高い重度のご利用者さんが
多くいらっしゃいますので、身体的に辛いフロアでもあ
ります。そのため、職員同士での「助け合い」が必要不
可欠となり、1人ひとりの負担をできる限り減らすように
心掛けています。
意見交流できるフロア会議は、大小問わず頻繁に行う
ようにし、業務の合間や業務外での密なコミュニケーシ
ョンを大切にしています。

またフローラルではQOL向上委員会や入浴介助・外出
レクリエーションなど担当制の委員会を設けています。
サービスの向上を掲げ、専門的な知識・技術を学び共
有できるよう定期的なミーティングも行っている。

その他にも、特別休暇・有給休暇などの福利厚生が充
実しており、本人の希望が通るように職員同士で協力し
合うことで、仕事の効率が良くなりサービスの質も高く
なりました。

  東野智子  
   

      氏名:東野 智子(28)    経験:5年半
      役職:2Fフロアリーダー   資格:介護福祉士

 
         
かすかな心の変化にも敏感でいよう
         
  清瀬 由恵  

3Fフロアは、認知症のご利用者さんが多いので、コミ
ュニケーションを図る上で、意思疎通は困難でもあり
ますが、ご利用者さんからのメッセージは絶対にあり
ます。そのメッセージに「気付く」ことが大切で、ご利
用者さんの日々の状態を把握し、少しの変化でも何
かを感じられるようフロア全体で取り組んでいる。

私が23歳という若い年齢で今の立場にいられるのも
、周りの方の理解や相談しやすい環境があるからで
す。実際リーダーになっていくつもの不安要素を抱え
るようになりました。その都度、主任や先輩リーダー
が私の支えになってくれました。だからこそ、教育に
は十分な時間を割いて、職員と接するようにしていま
す。

自分がしてもらって良かったこと・助かったと思うこと
は実践し、フローラルの風土を次の世代にも繋げて
いきたいと思っています。

 
 

      氏名:清瀬 由恵(23)      経験:3年半
       役職:3Fフロアリーダー     資格:介護福祉士

   
         
自身のスタイルがあるから揺るがない
         
 

4Fフロアは、自立目標を対象としたご利用者さんが
多いので、自己決定を促しご利用者さんの意思を反
映した形でケアを行うようにしている。ご利用者さんが
職員をよく見ている分、ダイレクトに反応が返ってくる
ので信頼関係も作りやすいですが、逆に些細な言動
でその信頼関係が崩壊するケースも考えられます。
ですから、職員1人ひとりが常に見られているという
意識と緊張感を持続できるよう注意を払っています。

そのためにも、職員同士の人間関係の構築は一層
大切になります。私自身の考えを周りに理解しても
らうためにも、私は「自分のルール」を決めています。
お互い思っていることは言い合える関係にはこだわ
りを持っているので、まずは職員を知ることから始め
ます。個々人の状況を把握して、悩んだり困っている
職員には迷わず声をかけ、自身の仕事に追われてい
ても優先して時間を作るようにしています。

これは、施設オープン当初からの社風でもあるので、
これからも実践していきたいと思っています。

  大山 幸乃  
     

     氏名:大山 幸乃(27)   役職:4Fフロアリーダー
     経験:6年           資格:介護福祉士/ケアマネ