ダベリバ特集企画は、埋もれがちな業界本来の楽しさや明るさを伝えていくため、 現場にスポットライトをあて、生の声をお届けするWEBマガジンです。
そこで私達は、様々な地域活動に携わり、福祉 活動に力を注いで参りましたが、福祉の立ち遅 れを痛感し、ボランティアとしての限界を肌で感じ るようになりました。その貴重な経験と多くの知 恵を活かし、地域ネットワークの発展や要介護者 とその家族を総合的に支援する為に誕生したの が、ハミングベル中道です。と、昔を振り返りなが ら、施設への想いを熱く語っていただいたのは、 施設長の石塚さん。
その様のオリジナル風土を形成するハミングベ ル中道を象徴する取組みが『音楽療法』なので す。ご利用者の生活の場となる施設で、介護を するのは当たり前。我々の使命は、この施設を選 んで下さったご利用者の生活に、楽しさとその人 らしさを提供し、生活の質を上げることだと考え ている。そこで辿り着いたのが、誰しもの人生の 身近にある“音楽”でした。 音楽の力を借りて、「ひとつひとつの音色を大切 にします。自分らしさを奏でて下さい。」をコンセプ トに、常に歌声が響き渡る施設として支持を高め ている。
4年制大学を卒業後、器楽(ピアノ)の専攻科を 経て、ハミングベル中道が推進する音楽療法の 可能性に共感し入社を決意。入社当時は、自ら 率先して現場にも入り、介護経験を積む。その直 向な姿勢に、ご利用者や同僚からの信頼を得て 、専任の音楽療法士としてスタートを切る。 鈴木さんが手掛ける音楽療法は、ご利用者から 絶大なる人気を誇り、施設を代表する取り組みの 1つになった。現在ではボランティアコーディネー ターを務めるなど、幅広い分野で活躍している。
人の心と身体に影響を与える『音楽療法』。最近では、病院等の医療機関でもその効果が立証され、治療法としての幅が広がっている。 しかし、私達が推進する音楽療法は、医療機関のような治療に大きな比重をかけるものではなく、ご利用者の娯楽や普段の生活に刺激を与え、楽しさ=QOLの向上を提供するものだと考えている。特別養護老人ホームでは、ご利用者のADLを向上、または維持させることは難しいとされているが、音楽を通じてご利用者により良い変化を与え、楽しさや自分らしい生活を持ち続けてもらえるよう努めている。
音楽は、「人と人」「昔の思い出と現在」「残存機 能と新たな機能」などの架け橋となり、その人の 生活の質を高める力を持っていると語るのは音 楽療法士の鈴木さん。 鈴木さんは音楽療法として、ご利用者1人ひとり に合わせた個人セッションやグループでのレクリ エーションを取り入れている。
音楽療法を実践する目的や手段をご紹介してきましたが、実際、音楽療法を通してご利用者にどのような変化が表れているのでしょうか。 まず、ご利用者の日々の生活へと繋がる変化では、「歌は次いつするの?」と音楽療法の時間を楽しみに待っている声が増え、その方の生活に期待や希望を持ってもらえていることが1つ挙げられる。 また、失語症でうまくお話ができないご利用者がいました。
失語症の中には、言葉をうまく話すことができなく ても、歌はうたえる場合が多くあります。そこで、 メロディとリズムを用いて簡単に単語を歌う練習 をすると、徐々に変化の兆しが見え、歌を通じて 「こんにちは」がはっきり言えるようになった事例 がある。鈴木さんは、このような事例を通して、「 ご利用者と一緒になって喜びを共有できることが 何よりも嬉しい」と話されている。 その他にも、アルツハイマーの方で、なかなか感 情を表に出さない方が、歌を通じて笑みをこぼし 喜びを表現してくれたり、普段、情緒不安定の方 が落ち着きを取り戻してくれたりと、その瞬間に 抱いた感情が日々の生活にも繋がっていること を実感している。 今後も、音楽療法を通してご利用者が抱く感情を 大切にし、その方らしく楽しい人生を送ってもらえ るよう、生活に希望を与えていきたい。
社会福祉法人 森の宮福祉会 特別養護老人ホーム ハミングベル中道 〒537-0025 大阪市東成区中道2-7-1