ダベリバ企画/高齢者福祉はもうボロボロです。
             

介護保険制度がスタートして7年余。誰のため、何のための介護保険だったのかがあらためて問われています。福祉の援助を本当に必要とする人々にとって、介護保険は一体何をもたらしたのでしょうか。
介護保険で「福祉が権利になった」という人もいますが、現実はお金さえあれば「自由に選択し購入できる商品になった」だけのこと。高齢者は「権利の主体」から、単なる「介護サービスの消費者」にされてしまったのです。

新しい憲法のもとで、戦後60年をかけて築いてきた社会福祉と公的責任のシステムを切り捨てることは許されることではありません。安心の老後を支える高齢者福祉・介護保障は、このままで本当に良いのでしょうか。

         
  研修会写真  
         
             
増え続ける介護難民。~特養ホームに入る前に死んでしまいます!?~
「介護保険制度になれば、サービスを自らが選択・利用できるようになる」ハズでしたが、実際には特養ホームの待機者は多く、入居できないまま死亡するケースも後を絶ちません。
「保険あって介護なし」という状況は今も続いているのです。
 
老健施設を転々として認知症が悪化
認知症の父が特養ホームの入居待ちの間、老人病院や老健施設を転々としました。
その度に環境が変わり、認知症が進行する父を見るのが辛くてたまりませんでした。申し込んだ時にすぐ特養ホームに入居できていれば、父の精神状態も安定したかと思うと憤りを感じます。
(大阪/51歳男性)
在宅サービスでは支えきれません
妻の介護を4年間、在宅で頑張ってきました。限度額いっぱいまでサービスを使いましたが、日中独りで過ごすことが多いため、認知症が進み、栄養状態が悪化、床ずれもできました。
今は特養ホームに入り、床ずれも治り、面会すると笑顔もでるようになりました。もっと早く入居ができていたらと思います。(特養入居者家族)
       
待機者は増えるのに特養ホームはなぜ増えない?    
特養ホームの建設には、基本的に国と地方自治体とで3/4の建設補助制度がありました。それが交付金制度に変えられ、公的補助が大幅に削除され、法人と利用者の負担が大幅に増えることとなりました。
しかし、とりわけ重度の要介護高齢者にとっては特養ホームの存在こそが極めて大切な介護施設なのです。建設補助と介護給付を増やしたくないという本音が見え隠れする国の姿勢を改めさせない限り、特養ホームの待機者は増え続けるばかりです。
特養建設補助率の変化
     
 
またもや介護難民が!療養病床大削減
研修風景 2012年までに療養型医療施設は全廃に。38万人が行き場を失うことになります。このうち15万人は医療保険制度を再編成して適応。残りの23万人は特養ホームや老健、ケアハウス、有料老人ホームなどの施設や居住系サービス、もしくは在宅サービスへと言われています。
入りたくても入れない現状で、介護難民が溢れることは間違いありません。しかも、この改定に伴い医療保険から介護保険に10万人が移ることになり、医療費抑制と介護保険財政の圧迫、そして保険料の高騰という悪循環が起きることは目に見えています。
     
 
今後、介護保険制度の本来の趣旨を今一度見直し、必要な人に必要なだけのサービスが提供できるよう福祉サービスの拡充を目指し、国・地方自治体・法人の役割と責任を明確にしていくべきでしょう。
その為にも、特養ホーム待機者の解消(設備計画・建設補助率の見直し・土地確保における助成制度)や緊急時の対応も含めたショート施設の設備と拡充、24時間365日在宅で暮らし続けることのできる、痒い所に手が届く、在宅福祉サービスの設備と在宅支援の充実が必要となるでしょう。
口腔ケア
 
         
介護の沙汰もお金次第。~貧しいものは、福祉を利用できない!?~
         
  「自由な選択」とか「契約によるサービス利用」、「競争によって質の高いサービス提供」と、バラ色に描かれた介護保険制度に移行して7年が経ちました。改定の度に上がる保険料。
そして増え続ける利用者負担。お金がなければ満足にサービスを受けることができないという、とんでもないことが起きています。
         
  命が先か?貯金を使い果たすのが先か?
妻が倒れ入院しましたが、退院を迫られ、しかたなく有料老人ホームに入所しました。
高い入居金に月々30~40万円の負担があり、貯金が底を尽きそうです。
早く特養に入れるよう助けて下さい。
(有料老人ホーム入居家族)
せっかく順番がまわってきたのに・・・
何年も特養の順番を待ちましたが、市内に新しい特養ができ、やっと入居の運びに。しかし、新型の特養とのことで、個室代が高く月に17~18万円の利用料になると聞き、泣く泣く辞退しました。
経済的にゆとりのない人のために、福祉があるのではないのでしょうか。
(特養ホーム待機者家族)
   
         
  お金があって重介護でないと特養に入れないってホント?  
居室 特に2006年の大幅改訂によって、要支援者を拡大してサービス提供を制限し、また本来福祉サービスの対象となるべき食費や居住費までも原則、本人負担としました。この改訂により、例えば特養入居者の負担は多床室でも8万円前後になり、個室ユニットの場合の個人負担は月額12~13万円となっています。低所得者への一定の軽減措置があるものの、特養に入るのにこんなに自己負担が必要となれば、「お金のある人は個室に、お金のない人は雑居部屋で」との差別も生まれます。国民年金だけでは施設に入るのもままならない状況です。
     
 
上がるばかりの保険料と名ばかりの減免制度

介護保険料は全国平均、月額2,900円で始まりました。それが今では、4,090円となっています。よくよく見れば、3年毎に2割も上がっている勘定になるわけです。その反対に、国と地方自治体の負担は公的福祉の時代に比べて半分となっているのですから一体誰のための制度なのでしょうか。しかも「低所得者には優しい制度」と言われていますが、最高で5割の軽減でしかありません。所得税はもとより住民税非課税であっても保険料負担はあるのですから、とんでもない制度です。
また、「所得の少ない人には軽減制度」があるといわれます。ところが地方自治体による独自の軽減制度の導入に対して国は厳しい指導をしています。
その原則は、①全額免除はしない、②収入だけに着目せず資産も含める ③一般財源からの繰り入れはしない、というものであり、実効性ある軽減制度にはなりません。さらに軽減制度である高額介護サービス費も食住費の減免を行う補足的給付にかかる財源も介護保険です。その上、社会福祉法人に対しては「社会福祉法人による利用者負担軽減制度」を設けて、独自減免を推奨するのですから身勝手も甚だしい状況です。

介護風景
     
講習風景 極端に言えば、お金がなくても援助・サービスが受けられるよう公費による減免制度の拡充を図り、利用者負担の増大に繋げることなく介護保障充実の仕組みを構築させることが、本来の「社会保障」「社会福祉」を指し、国民の基本的権利を保障させるものなのではないでしょうか。
保険料・利用料は、「応益負担」ではなく「応能負担」を原則とし、基礎年金で援助・サービスが安心して受けられるといった、誰の、何のための制度かということを明確にしていただきたいと思う。
     
 
高齢者医療は「枯れ木に水をやるようなもの?」

そもそも、福祉にお金を使うのは、「もったいない」ことでしょうか?福祉の仕事は、高齢化が急速に進むこれからの時代、地域を支え、経済を活性化させるものです。老人福祉従事者は、2000年に比べて倍以上に増え、福祉従事者は全体で330万人を超えるまでになっています。家族や関係者を含めて1,000万人以上の人々が福祉の仕事で暮らしの基盤を整えており、今後、全国どこの地域でもその仕事の役割と比重は大きくなってくでしょう。
福祉の仕事が、その意味と目的にそって発展するようにお金を使うことは、国民の暮らしと地域をよみがえらせることであり、「もったいない」どころか、とても大切なことだと言えるのではないでしょうか。

地域とのふれあい
     
 
※真に利用者本位で、日本の社会保障制度を創造的に構築するため、2001年に設立。現在では、全国各地の施設と在宅福祉サービス関連の関係者が集い、高齢者の権利を守ることを基本に、公的福祉の確立を目指し、地域や施設で豊かな援助実践を重ね、様々な取り組みを幅広く展開している。
 

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