健康寿命を縮める“健康器不安定症”
           
足下がふらつく、よくつまずく、歩幅が狭くなった…。こうした症状を「歳をとれば仕方ない」と放置する人は多い。だが、2年前に“運動器不安定症”として保険適用され、「骨折などの危険度を高める病気」と考えられるようになった。

つまり、この症状を早期発見・予防することができれば、適切な対応で寝たきりを防ぎ、健康寿命を延ばせることを知っていただきたい。

  介護職とご利用者  
   
       
聞き慣れない病名・・・『運動器不安定症』の実態!?
   
レクリエーション 「運動器」とは、骨や関節・筋肉・末梢神経など、体を支え、動かす役割をする身体の器官のことを指し、「運動器不安定症」という病気は平成18年4月に誕生した病名なので聞き慣れない人が多いと思いますが、そもそも「高齢化により、バランス能力および移動歩行能力の低下が生じ、閉じこもり、転倒リスクが高まった状態」と定義された病気なのです。

こうした症状は「歳をとれば誰にでも起こる」として、従来は病気とみなされることはなかった。それが、急速な高齢化による要介護者の増加などを背景に、これらの症状を早期発見・予防することで転倒や骨折

を防げば、寝たきりなどの要介護者を減らせると考えられるようになった。

病気の診断方法としては背中が後や横方向に曲がっていたり、長期間の臥床後、頻繁に転倒するなどの状態になっている人や、以前になっていた人で日常生活はほぼ自立しているが、外出に介助を要する虚弱高齢者に対して運動器不安定症との病名をつけます。

ボールを使ったレクリエーション 日常生活がほぼ自立か介助を要する虚弱高齢者とは介護保険制度では、要支援か要介護 1・2と認定された人に相当します。

医療機関で虚弱状態であることを確かめる方法としては患者さんに目を開いて片足で立っていただき、15秒間以上立てなかった場合や椅子から立ち上がり3m先の目印を回って再び椅子に座るまでの時間が11秒以上かかる場合のいずれかが該当する場合と決められている。

 
     
“運動器不安定症”をまねく最大の要因
日本整形外科学会では「高齢化による要介護者の増加は、医療費高騰だけでなく患者のQOLの面からも大きな問題になっている。
寝たきりなどの要介護状態に至る原因の第1位は脳卒中だが、次いで多いのが骨や関節など運動器の疾患。平均寿命だけでなく、健康寿命を延ばすためにも、運動器を健康に保つことの大切さについて多くの人に知ってほしい」と述べている。

運動器は、消化器や循環器など他の器官と異なり、自分の意思で動かせるのが特徴だ。
半面、使わずにいると退化して脆弱化する。ただ、骨や筋肉の量が減っても自覚することはないため、知らないうちに症状が進んでいる人が少なくない。
中でも骨粗鬆症は、転倒・骨折の危険度が高く、「運動器不安定症」をまねく最大要因と考えられている。

骨粗鬆症は、骨密度と骨質が低下して骨折危険度が高まった状態で、日本では1,000万人以上の患者がいるとみられている。
しかし、骨粗鬆症から骨折に至る過程のどこかを断ち切れば、寝たきりを防ぐことが可能であるにも関わらず、治療を受けている人は一部にすぎず、骨折して初めて自分が骨粗鬆症と気付く人は少なくない。

高齢者の運動
高齢者と地域住民のふれあい
骨粗鬆症の検査 リハビリ 特に70歳以上で、身長が若いときより3センチ以上縮んだ人や、親に骨折歴がある人。
または、喫煙・多量飲酒の人は、寝たきりにつながる大腿骨頸部骨折を引き起こす危険度が高いので、当てはまる人は骨粗鬆症かどうか一度、調べてもらうことをおすすめする。
     
平均寿命と健康寿命を延ばす「予防方法」
 
骨粗鬆症を予防・治療し、運動器を健康に保つのに、歩行や水泳などの有酸素運動が推奨されている。軽い散歩などの歩行でも、足の骨に負荷をかけ、足の筋力を高めるとともに、姿勢を正し背筋を強化するので、骨折予防に効果がある。
高齢者でも歩行に問題のない人ならば、1日7,000~8,000歩を週5日程度行うと良い。

外を歩くのが難しい虚弱高齢者でも、立つことのできる人ならば、片足立ち訓練を行うことで、転倒・骨折の予防になるそうだ。

プール予防運動
 
左右の足をそれぞれ1分で1セットとし、1日3セット、計6分間行うだけで、53分間歩くのと同じ運動負荷がかかるとされ、習慣的に続けると骨密度や筋力が高まると。

ただし、普通に歩ける人は、片足立ち訓練だけでは必要な運動負荷がかかるとは言えないので、しっかりと歩くことが大切だ。

       
高齢者施設フローラル“敬老会”
     
 

9月の高齢者施設は大賑わいだった。 祝日である「敬老の日」にちなんで、あちこちの施設で“敬老会”が開催された。
今年も、ご利用者の喜ぶ顔を思い描いて、職員の方は夏前から打ち合わせと準備を重ねる。
そのすべてが、当日のご利用者の笑顔と達成感で報われる。

そこで今回ダベリバ編集部は、施設長から職員が一体となって創り上げる、介護老人福祉施設「フローラル」の“敬老会”に密着してきた。

 
 
“フローラル”だけの感動とサプライズ!会場の一体感が、“祭り”の大盛況を彩る!  
開会の挨拶

いよいよ、みんなが待ちにまった、年に一度の大イベント“敬老会”が始まりました。 
廣瀬施設長からのご利用者を敬愛し、長寿を祝う挨拶で会がスタート。そして開催に先駆け、9月生まれのご利用者の方に、花束贈呈とご家族からのお手紙が読まれました。
心のこもったお手紙に、敬老会ならではの温かい雰囲気が会場を包み込みました。
その後、特別ゲストとして、ご家族からの出し物があり、素敵な踊りに一同、拍手喝采で会場のボルテージは一気に上がりました。

そして今回のメインイベント、職員からの出し物である“フローラル歌謡ショウ”の始まりです。
施設長も加わった事務職班と介護職班が互いに、歌と踊りを披露します。
▲敬老会の開催です。温かい雰囲気が会場を包み込む。⇒職員による歌謡ショウで歌や踊りを披露する。 歌と踊り
 
職員による歌謡ショウ
昔を思い出す懐かしい曲や誰もが知っている童謡などでまとめ、ご利用者も一緒に口ずさむほどの一体感。リズムに乗って手拍子を取るご利用者の笑顔が印象的でした。
フィナーレは、ご利用者一人ひとりに手渡される職員からの贈り物。何が入っているのか楽しみに、プレゼントを手にしていました。そして、改めてもう一度廣瀬施設長がマイクを握り、これまでの感謝の気持ちと「来年もこの場でお会いしましょう!」という長寿を願う言葉で挨拶を行い、会は大盛況で幕を閉じた。
   
 
突撃レポート!司会・進行役に聞いた。今日までの道のり・・・。  

今年の敬老会で「司会・進行役」を務めた入社1年目の才田さん。入社後からの彼女の直向な姿勢が評価され大抜擢。イベントの中枢を担うことで養われる経験や責任が本人のやりがいへと繋がり、施設内にも活性をもたらす。

楽しく働ける職場づくりの中にも、『フローラル』ならではの教育方針が顕著に施されており、職員が中心となる運営基盤が築かれていた。

入社1年目の才田さん
 
ミーティング風景

今年のテーマは、“懐かしく明るい、アットホームな会”ということで、会に参加した方が一体となれるような馴染み深い歌を披露する「フローラル歌謡ショウ」をメインに盛り上げていこうと決めていました。
そこで敬老会メンバーに選ばれた職員が、3ヶ月程前から休日を合わせるなど、限られた時間の中で、打ち合わせや準備を行ってきました。

当日は、ご利用者の方に喜んでいただけるのかと不安や緊張感がありましたが、まずは、自分たちが楽しもうというスタンスで職員が団結できたことが、会の成功へと繋がったと思います。
ご利用者からの「ありがとう!」「楽しかったよ!」「また来年も!」の一言一言が胸に染み、これまでの準備期間が全て報われた気がしました。
▲ご利用者に喜んでいただくために、職員が一丸となり、何度も何度も、ミーティングを重ねる。 敬老会 打ち合わせ風景
職員集合
会を振り返って思うことは、結果として、ご利用者に喜んでいただけたということが嬉しかったのですが、その過程にある、職員がチカラを合わせて1つのことをやり遂げたという達成感が、何よりも良い経験になりました。
その中で、右も左も分からない私を支えてくれた心強い先輩の存在を再認識し、アドバイスやフォロー、そしていくつもの私の相談に親身になって耳を傾けてくれた先輩に感謝の気持ちでいっぱいです。
 
 
終了後の才田さんを追うと、無事、会を終えたという安堵の表情と皆で1つのことをやり遂げたという達成感に満ち溢れた笑顔、そして、その喜びを皆で分かち合おうとする職員の輪が印象的で、改めて、職場風土の大切さを考えさせられる1日だった。
  社会福祉法人 優喜会
特別養護老人ホーム フローラル
〒570-0003
大阪府守口市大日町1-11-11
       
 
   
 
認知症連携担当者の創設/認知症対策を進める、緊急プロジェクト!
         
“認知症コーディネーター”から“認知症連携担当者”へ
厚労省は6月30日、「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト(第4回)」を開催し、認知症対策の取りまとめ案が提示された。
これまでの会議では、認知症の早期発見と診断、適切な医療の提供のため、専門医療機関の設置が検討されてきたが、「認知症疾患医療センター」を全国150カ所に設置することが決定した。 この認知症疾患医療センターの設置を受けて、地域での認知症ケアと医療が連携できるよう、全国3,800カ所の地域包括支援センターに【認知症連携担当者】を創設することが公表された。
来年度は約150カ所の設置を見込んでいる。
  地域包括支援センター  
認知症対策会議
過去の会議では、専門医療機関と介護保険のつなぎ役という意味で『認知症コーディネーター』の名称で検討されていたが、まとめ案では『認知症連携担当者』として、地域包括支援センターの現3職種、主任ケアマネジャー、社会福祉士、保健師に続く4つめの職種が新たに誕生する。
   
北欧の福祉先進国における「認知症対策」
デンマークには、認知症コーディネーターと呼ばれる職業がある。これは、認知症になってもできるだけ住み慣れた町で、安心して暮らし続けることができるようにするためのサポート体制の一役を担う重要な職種なのだ。
デンマークの介護現場に従事する職員は、すべて専門教育を受けた専門職であり、その中から一定の経験年数を経た人が認知症コーディネーターの研修を受講する資格を得ることができる。 認知症コーディネーターを日本にある職業の中から分かりやすく例えると、ケアマネジャーとソーシャル
デンマーク
ワーカーと認知症ケアのスーパーバイザーをすべて混ぜ合わせたような知識と専門性を有した職種なのです。そして、その経験ある専門職が100時間以上の講義を経て、認知症コーディネーターとなるのです。それだけ認知症患者におけるケアは、非常にデリケートなものであることが伺える。
デンマークの風景 認知症コーディネーターは、地域高齢者精神医療班という組織に属することになる。そこには他に、専門医、看護師がおり、認知症になった高齢者を地域で支えるべく、介護施設や介護職員のサポートを行っている。
また、介護職員のサポートだけではなく、本人やその家族にまできめ細かいサポートを忘れない。
例えば、地域高齢者精神医療班に属する医師の役割として、相談があってから3日以内に訪問をし、ホームドクター(かかりつけ医)へ投薬などの助言を行う。そして、身体状況(認知症と同様の症状を示すもの)の確認を行い、認知症の診断を行っている。
 
一方、日本ではまだまだ専門医の診断を受けるためには、患者が病院に行かなければならないことが多く、医師のあり方ひとつとってみても大きな違いがある。日本にも認知症介護指導者研修という認知症介護研究・研修センターで実施している研修制度はあるものの、その受講者が現場実践、特に地域において活躍をしているという実績はまだない。 それだけ、日本の認知症ケアの専門性がまだ低いということが言えるのかもしれないが、ただ知識の伝達を行うだけではもったいない。
一人でも多くの認知症の人が、安心して暮らしてい
認知症ケアの研修
けるように、専門職が地域で活躍できる仕組みづくり急がれる状況にあるのだ。
       
“認知症連携担当者”の役割とあり方
今回の取りまとめ案で、ようやく日本も一人でも多くの認知症患者が、安心して暮らしていけるように、専門職が地域で活躍できる仕組みが形成された。
これまで、指摘されていた ①職員の知識・ノウハウの不足 ②施設や地域間での質の格差 ③関係者の連携不足 ④サービスの利用のしにくさ、 などの認知症介護における課題が改善されていくことが見込まれる。

老健局の提案によると【認知症連携担当者】が全国150カ所ある認知症疾患医療センター、認知症かか

りつけ医、介護サービス提供主体や権利擁護の専門家らとネットワークを作り、介護を担う家族などからの相談に応じると共に、ケアが困難な事例に対し支援を行う。また、【認知症連携担当者】が配置されたセンターは、配置されていない近接のセンターに対して、各専門職間の連絡調整を図った上で、相談支援をサポートしていく。
 

■『認知症連携担当者』の主な役割
1.認知症との確定診断を受けた高齢者の情報を把  握
2.それを基に利用者の住所地の地域包括支援セン  ターに利用者情報や専門医療情報の提供を行う
3.要介護者に対する専門医療や権利擁護の専門  家の紹介
4.認知症ケアに関する専門的相談・助言を行う

また、認知症に対応できる地域ケアを強化するため、ケアマネジャー・地域包括支援センターの従業者・介護サービス事業所の従業者・医師などの専門職同士による研修も盛り込まれた。研修では認知症やその医療・介護に関する事例を検討する。
専門職の研修