介護現場の賃金事情
  雇用情勢の悪化に伴って新聞やテレビ等のメディアで報じられる機会も多くなり、介護に注目が集まっている。慢性的な人手不足に悩む「介護現場」の改善に繋がるのなら、「結果が良ければそれでいい」になってしまうのかも知れない。
しかし、このままでは介護業界が持つ問題の本質的な解決に結びつかないし、表面上の理由だけで介護現場を雇用の切り札と言い切る報道内容にも疑問点が残る。

そこで、ダベリバ特集では4つのテーマに別けて「なぜ人手不足なのか?」を徹底的に掘り下げて問題を

  介護現場  
追求していきたいと思う。最初のテーマは、「介護現場の賃金事情」について。
       
介護現場の賃金が“とてつもなく安い”理由
介護の仕事 ほとんどの報道では、人手不足の原因を「賃金の安さ」として嘆き、「介護は人のためになる仕事」的な精神論を対置している。
確かに、介護に携わる方々の賃金は安い・・・。
それもとてつもなく安い!長く業界に携わっている身の立場からすると、正直なところ「何をいまさら」といった感覚に近い。
しかし、「どうして安いのか?」について言及する報道はごく稀である。せいぜい「これではいけない」でまとめるか、「介護報酬も引き上げられた」と評論するだけで終わってしまう。
そもそも4月から実施された「介護報酬3%引き上げ」にしても、介護保険制度がスタートして実に“はじめて”のことなのだ。
これまで、2003年に 2.3%、2006年に2.4%と引き下げられ、介護報酬は合計4.7%のマイナスである。3%の引き上げを加えても、当初から1.7%も引き下がられている計算になってしまう。
この介護報酬は、介護事業者にとって原資である。それがマイナスなのだから、どう考えても賃金が上げるわけがない。それでも「3%上がるのだから賃金も」という意見もある。しかし、介護現場では「それは難しい」という声が圧倒的に多いのが実情だ。

今の介護保険制度では、介護サービスそれぞれに細かく介護報酬が定められ、その約10%は自己負担である。その自己負担が報酬引き上げにともに値上げされれば、「お金がないから、そのサービスはいらない」となる心配があるという。
考えてみれば、対象は介護サービスを必要としているお年寄りである。限られた年金で暮らしている方々が圧倒的に多い。自己負担が増えれば「だったら、少しくらい我慢して」となるのが自然だろう。結果的には、介護事業者の売上総体も少なくなり、賃金の引き上げにも反映されない可能性は大きい。

福祉の仕事
介護現場の賃金
介護保険制度

そんな「介護現場」に触れないまま 「(3%引き上げで)介護職員の賃金は平均月2万円増える(新聞各紙)」という政府の見込みを、そのまま伝えるのは「介護の仕事」の紹介としても不十分だろう。

もちろん「介護報酬3%引き上げ」に反対ではない。しかし、介護職員の賃金を根本から改善するには、介護保険制度の10%自己負担がどうしてもネックになる。雇用の受け皿として考えても、それは決してプラス要素にはならないとダベリバ編集部では考えている。

   
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